3〜5歳における教育内容は小学校入学前までに
幼稚園・保育園とも次の5分野を教えることが法律で定められています。
「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」
幼稚園では、上記5分野を原則として午後2時までの間にこなし
保育園では、1日の生活リズムの中でそれら5分野をこなします。
私たちの園は幼稚園の中に保育園が併設された「幼保複合化」施設ですので
めざすものは、
幼稚園であり保育園でもある『幼保園』
ということになります。
私は保育に携わって35年です。
(公立の保育園で)園長職になってからは7年になります。
この園は外見的には規模は大きいですが、
中身は家庭的な雰囲気のある園にしたいですね。
こどもはそうした環境の中でやさしく育ってくれると思うので…
「施設」というのではなく、
家庭的なものを、そうした要素をいろいろと組み入れていきたいです。
たとえば…
0歳児3名に対して1名の保育士がつくのですが、
1対1で関わる部分をきちんととっていきたいです。
一人ひとりの育ちを見逃さないで、よく見て、きめ細かな対応ができるように。
「心が通じる」ということが一番大切です。
どうしても集団だと、さぁ〜と流してしまうようなところがありがちですが
こどもから見たら、私たちはひとりなんですね。
大人から見るとたくさんのこどもがいるわけですけど。
大切なのは 「1対1の関係」 です。
「あなたをきちんと見てるよ、あなたをきちんと見ているよ」
というように、つねに自分が信頼できる大人がそばにいる、
という状況で育てていかないとこどもは育たないので、
それは大事にしていきたいと思います。
年齢が上がって集団が大きくなれば、預かる人数は増えるのですが
それでもやはり、1対1という部分はきちんと取り入れながら保育することが重要です。
こどもに対して「こういう子になってほしい」という思いはあるけれど
ではどうしたらそのように育てられるかという不安があって
日々のこどもとの対応の中でご自分が思い描いたり、
育児本などで読んだ理想のこどもの姿とは違うこどもを見ると
不安になってどうしたらいいかわからなくなる。
その不安が高まったとき
相談する人がいてその不安を解消したり
友達のお母さんたちと話し合って「ウチもそうよ〜」と安心できればいいのですが。
そうしたことができずに一人っきりで悩み込んでしまうお母さんがいます。
その不安が募って、怒りというか、ストレスが大きくなりすぎて
こどもを叩いてしまったり、虐待してしまったり…
こどもを良くしたいがために怒りすぎてしまう。
そしてますます、こどもが自分の思いとは違う方向へ行ってしまうのです。
エスカレートしてしまって。
虐待しているお母さんはその不安が大きくなって
どうしたらいいかわからなくなる場合があるのです。
自分の思い通りにこどもが動いてくれればいいのですが
そうは思ったとおりになりません。
それが子育てです。
ではどうすればいいのか、というとそれは専門家の助言が必要ですね。
まず相談してほしいですね。
「ひとりで悩まないで!」といいたいです。
どんな小さなことでも恥ずかしいことではないから聞いてほしいです。
不安なことはすぐに解決してほしいですね。
専門家はいろいろなところにいます。
身近に結構いるのです。
お家にいるお母さんは割りと気づかない人もいるけれど
電話相談もあるし、各保育園の職員も相談に乗れるし。
どうか遠慮なく、恥ずかしがらずに聞いてほしい。
私たちもいつでもご相談に乗りたいと思います。
ぜひ、園に来てお話してください。
またこどもたちと遊ぶ機会も作りますので
そうした中で遊びながら見ていただくと
他のこどもたちの様子と自分のお子さんとの様子の中で
じゃあ保育士はどういう対応をしているのか
とうことを見るだけでも子育てのヒントになると思います。
ぜひ遊びに来ていただいて、相談してほしいと思います。
こどもだけのクッキング保育ももちろんありますし、
親子でクッキング保育を楽しみながら食事をいただいて
それをお家に帰ってからも楽しんでいただければ嬉しいですね。
調理師にもベテランのものがおります。
毎月の食事を、こどもが嬉しく、楽しく食べてくれるように
工夫しながら作っていきますし、
忙しいお母さん方にスピード料理の紹介できればと思います。
レシピはいつでも置いておきますので気軽に声をかけていただければ
作り方も説明します。
また試食会も企画しますので、
実際に作りながら、食べながらスピード料理をマスターしてもらいたいですね。
■ すぐに転んでしまうこどもについて(こどもの発育の順序性) |
こどもの身体には順序性があります。
その順序を飛び越えてしまうと後でちょっと支障が出てくることがあります。
こどもの発育は皆一緒ですので、その発達段階に合わせて
その都度その都度、
この段階では次にこうなる。
だからこういうおもちゃを与えようか、
こういう援助をしようか、
こんな場面設定をして、こういう運動をするといいな
というように子育てしていきます。
早く何かができればいいというわけではないと知っていただくといいですね。
例えば、ハイハイをあまりしないですぐに立ち上がってしまったこども。
転びやすい子になってしまうことがあります。
「どうもこの子は転びやすいな」と思ったら
小さい頃を思い出してもらって、
ハイハイの時期が短かったとか、
直ぐに立ってしまったとか…
その場合はそうしたことを補う行動をすればいいのです。
小さい子だったら、
犬になろう、ウサギさんになろう
というように四つんばいになる運動ですね。
そうした要素を遊びの中に取り入れていく。
すると補われる部分があるのですね。
そのお子さんの様子を見て適宜取り入れていきます。
一人ひとりのこどもを見ていますので
必要なことを必要な時期に、意図的に
しかも遊びの中に、強制ではなく楽しく…
今はメディア(テレビ、ビデオなど)を見たりする機会が増えました。
お母さんたちもお忙しいので、自分が家事などをしているときに
こどもがテレビなどを見てくれていると静かで助かるわ、と。
お子さんも集中してみているし、とても楽しそうだしということで…。
でもお子さんを見ていて、
どうしてこの子はなかなか目線が合わないのかな
というとき、お母さんに様子を聞くと
ビデオをずっと続けて1時間見せていたというのですね。
そうしたケースが多いのです。
ではどうしたらいいのか、と相談を受けるので
ちょっとビデオをやめてみてください、とお願いします。
するとびっくりするくらい直るんですね。
まったく見てはいけないというわけではないのです。
時間を決めて、見せてほしですね。
よく「こどもが勝手に見るんです」という意見を聞きますが
でも最初にスイッチを入れるのは大人です。
何もないところでこどもは行動しません。
大人が気をつけることが一番大事であるといいたいですね。
■ あまりに教育を優先してしまうと…(『右はどっち!』) |
お子さんはお母さんに「一緒に遊んでほしい」という気持ちで
「ママ、どっちの手にはいってるか?」といって
お母さんに手を差し出しました。
その様子を見ていたら、お母さんは
右手!右はどっち!
といったのです。
そのこどもは今までニコニコしていたのですが
悲しそうな表情になりました。
ちゃんと右手を差し出しましたが…
それでもお母さんは「ちゃんと右がわかってるわ!」と納得していました。
こどもはただ、お母さんと遊びたかったと思うのですが。
こっち!
と右手をちょんとつついてほしいのですね。
それで二人で喜びたかったのではないかと。
遊んであげているのだけれど、
教えてあげたい!
という気持ちが強く出てしまって。
教えることを抜きにして、ただ楽しく
あなたが大好きだから一緒に遊びましょうね!
という気持ちが通じるような接し方を小さいときにしていただくといいかなと。
それが小さければ小さいほど重要です。
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