私たちの園では、いわゆる一般の幼稚園・保育園でみられるような、全員一斉の「いただきます!」の風景はありません(行事食のときをのぞく)。
日本の教育は「みんな一緒!」ということが好きです。集団行動は日本人の美徳でもあり、私たちも集団で行動することはあります。
しかし何でもかんでも一斉に行動することには疑問を感じます。特に幼児期とは「自律性」(自分で決める)を育む大切な時期でもあるからです。
そこで私たちは給食の時間に「小グループ制」をとっています。全員一斉に食べるのではなく、ある一定時間の枠組みの中で、机ごと・グループごとに一緒に食事をします。
上の写真は給食が始まっている状態の一コマです。左手前が「食事中」の年少さん。その奥に「配膳待ち」の年中さんが見えます。そのほかの子どもたちは、めいめいが午前中の遊びを継続中のようです。
お昼だから強制的に遊びを中断させて食べさせる、というのも「しつけ」の一面でしょう。メリハリは大切です。
ただ私たちが意図しているのは、「先生に言われたからではなく、自分の頭で考えて、自らの判断で、遊びから食事へと切り替えができること」なのです。これが「自律性」です。
「本当に満足した子どもだけが意欲的になれる」といったのは、児童精神科医の故佐々木正美先生でした。しっかりと自分の納得がいくまで遊び込み、かつ自分で遊びを中断すること。こうした積み重ねが感情のコントロールにつながります。これが今話題の「非認知能力」というものです。
もっとも、食事の時間を考えて「まだ遊んでいても大丈夫」と判断できるまでは、クラス担任が子どもを促すように声かけをしていきます(特に年少さん)。
年長にもなれば、今までの経験から、自分の食べる量・食べるスピードがわかってきています。「友だちとも遊びたい、でもしっかりごはんは食べたい」という判断から、自分の意志で時間の管理をします。これが「小グループ制」です。
小グループ制の意義: 何もかも全部一緒ではなく、その子に合わせた対応ができる。また子ども自身の自律性(自分で決める)を育む機会でもある。 |
以下に続きます。
1.クラス配膳とは?
2.小グループ制とは?
3.意欲を引き出す工夫
4.キッズクッキング
5.クッキング保育各種
6.文化の継承
7.食具の工夫