せっかく栄養たっぷりのメニューを用意しても、そもそも食べてくれないことには始まりません。そこでまず第一の工夫は「おいしそう!」「食べたいな!」と思わせる「見た目」です。
カラフルな色合いで、思わず手が伸びそうな盛り付け。調理スタッフの工夫です。
また「におい」も大事です。私たちの園は自園内に調理場があるので、お昼時には園舎内、場合によっては園庭にも、においが広がります。においは食欲を刺激します。
ビジュアルさえよければいいわけではありません。必要な「栄養バランス」。園には管理栄養士が2名常駐しているので、成長に必要な栄養をしっかりとれるメニューを組んでいます。
なお食材は中国産は使用していません。国産のものに限っています。特に海藻は、中国産など海外のものが流通していますが、私たちの園は大手メーカーの「カネリョウ海藻株式会社」から純国産品のみを仕入れています。
特に今力を入れているのが、甘味。従来より精製された白砂糖は使わず「てんさい糖」を使用していましたが、現在「高級本みりん」へ切り替え中です。煮切ってアルコールを飛ばせば、砂糖の代替になります。2020年度内には、おやつを除く、すべてのメニューが砂糖不使用となります。
「角谷文治郎商店」の三河本みりんは、2016年の伊勢志摩サミットの料理にも使われました。最近では、パリやベルギーのチョコレートメーカーにも広がっているそうです。
「みりん風調味料」でなく、混ぜ物なしの「本みりん」。夏見台の食育はつねに本物志向です。本物のみりん(本みりん)は、3つの原材料からできています。米麹、もち米、米焼酎です。お酒として飲むこともできます。
本みりんは栄養たっぷりです。本みりんが作られる過程で、米のたんぱく質はアミノ酸に、でんぷんはブドウ糖や麦芽糖といった吸収されやすい形に分解されています。またビタミンも豊富。麹菌が繁殖するときに、ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群を生成します。江戸時代には、みりんが栄養ドリンクとして飲まれていたのはそのためです。
私たちは子どもたちの「舌」を育みたいのです。本みりんには、オリゴ糖が含まれているほか、アミノ酸のうまみ、有機酸の酸味など、味に深みがあります。子どもの敏感な舌で感じ取ってほしいものです。
いい食材(だしもたっぷり!)を使っているので、味はおいしいです!スタッフも子どもたちと同じ給食をいただいています。
「おいしそうだな〜」。中が見える給食室にしてあります。園庭で思いっきり遊んでクラスに戻るとき、おいしそうなにおいに誘われて、子どもたちは寄り道します。食べる意欲がかき立てられます。
「どんな人が作ってるんだろう?」。調理中は全員マスクなので、自己紹介代わりに、顔写真と名前を貼り出してあります。作っている人の顔が見えると安心して食べられます。
ところで栄養は確かに大切なのですが、下の写真の上段と下段を比べてみてください。
ともに同じ魚料理です。しかしその付け合わせがとの色合いで、ずいぶんと印象が変わってきませんか?
切り干し大根やひじきなどの和の食材は積極的にとりたいものです。しかし毎日こうしたものが続くと…。そこでバリエーションです。カラフルな食材に変えてみる。しかもゴボウをサラダに入れることで、必要な食物繊維も補える。こんな工夫もまた、食への意欲を高めるのです。
月に1回「お楽しみ給食」があります。これは事前に内容を明かしません。まさにその日の「お楽しみ」。季節にあったものやお弁当形式のものなど、お子様ランチのような華やかさを工夫しています。
以下に続きます。
1.クラス配膳とは?
2.小グループ制とは?
3.意欲を引き出す工夫
4.キッズクッキング
5.クッキング保育各種
6.文化の継承
7.食具の工夫