園の給食にはパンはありません。日本人の主食はお米。お米を自分で炊いておにぎりにするところをゴールとして、田植え体験から行っています。
ところで少し脱線します。
戦後パン食が急速に普及し、それに合わせて摂取する脂肪分が増えていきます。それはなぜか?
「水分含有量」が1つのカギです。だいたい以下のようになります。
食パン 35%
フランスパン 30%
ごはん 60%
そば・うどん 70%
私たちの体内の水分含有量は60〜70%くらいです。ごはんは60%なのでいいのですが、水分量の少ないパンは、口に入れると唾液が奪われパサつきます。それを防ぐには口の中の粘膜を油でコーティングし、唾液が吸われないようにする必要があります。
パンの中に油が練りこまれているのはそのためです。ドレッシング、マヨネーズ、バター炒め…おかずも脂分が多くなります。
しかしごはんを中心とした和食はヘルシーです。日本人はもっとお米を食べるべきなのです。そのためにも、お米作りから体験していきます。園の畑の一角に、小さな田んぼを作ってあります。
ただできあがったごはんをおにぎりにするだけでなく、1年を通して季節感とともに、お米を身近に感じてほしいのです。
お米を自分たちで研いでみる。研ぎ汁の色の違いの変化も実際に確認する。その上でクラスに炊飯器を持ち込み、炊き上げます。部屋中にごはんのいい匂いが広がり、炊きあがると「うわぁ〜!」という歓声が上がります。
握ることがうまくできない年少さんには、年長さんがお手伝い。これも異年齢クラスのいいところです。
年長になると給食室見学ができます。何もかも新鮮な体験です。大きなお鍋やお釜、たくさんの食材の山…。子どもたちは目を点にし集中して説明に聞き入ります。
夏になると、恒例の流しそうめん。毎年本物の竹をつないで行います。
敷地内にある畑に種を植えて、頻繁に成長を見守ります。夏野菜など、収穫するとそのまま給食室に持ち込んで、その日の給食にもう一品追加です。自分でもいだお野菜はもりもりと食が進みます。体験としてかかわると、食への意欲も高まるのです。
冬にはもちつき。自分でついたおもちをみんなで食べます。「よいしょ!よいしょ!」という声が園庭にこだまします。
年に1回、クッキング保育室に保護者の皆さんをご招待して親子クッキングをします。ピザ、太巻き、うどんなど主食を手作りし、おかずはその日の給食を食べます。
子どもにとっても親と一緒に園で過ごすことはほとんどありません。大好きなお母さんと一緒にするクッキングは格別で、みんな大喜びです。
以下に続きます。
1.クラス配膳とは?
2.小グループ制とは?
3.意欲を引き出す工夫
4.キッズクッキング
5.クッキング保育各種
6.文化の継承
7.食具の工夫