よく園の説明会で出すたとえです。子どもの目には「すずめ」が見えます。「カラス」も見えます。しかしその間が見えません。具体的な「すずめ」は認識できても、より抽象的な概念である「鳥」という言葉の認識が難しいのはそのためです。
ではその目に見えない「間の関係」を認識するにはどうしたらいいのか?つまり「抽象的思考力」を育むにはどうすればいいのか?それが、
似たものを見つける力
(イメージする力)
を育む遊びの体系です。その観点で言えば、「象徴遊び」が大切になってきます。象徴遊びの代表的なものが「ごっこ遊び」です。子どもは家で食事を作るお母さんの姿をじっと観察しています。台所にあるこまごまとした道具もよく見ています。そして園に来ます。
そこにはさまざまなおもちゃがあります。「ちょっとお母さんのやっていたことをまねしてみよう…」。豊富なおもちゃが、子どもの想像力を助け、遊びが展開します。私たちは子どもたちの「似たものを見つける力(イメージする力)」をどんどん育んでいきたいと考えています。
発達心理学によれば、抽象的思考力の獲得は図のようなピラミッドで表すことができます。まず一番下の「身体」(手)で思考する時期。中間の「モノ」を通して具体的に思考する時期。そして上層の「シンボル」を扱う抽象思考の時期です。
「手に触れるもの」→「目に見えるもの」→「目に見えないもの」
というように「イメージする力」は育まれます。こうした発達がまずあって、その上で、遊び・玩具の選択をしていきます。ここに夏見台幼稚園・保育園の大きな特長があります。
知力とは「類推する力」です。既存の知識をベースに、新しいモノとの間に関連づけをする。つまりイメージをふくらませ、「似たものを見つける」わけです。そもそも、私たちの脳の構造がそうなっています。神経細胞が伸び、シナプス結合をくり返し、脳内ネットワークを作っています。
既存の知識がベースになるので、知識量が多いことに越したことはありません。しかし豊富にある知識を「つなげる」努力をしないと、せっかく身に付けた知識が生かせません。
だからこそ、手を使って試行錯誤することが大切になります。「ちょっとやってみるか!」と意欲的に行動することで、新しい知識とのつながりができます。そんな意欲的な子どもに育ってほしいと願っています。
以下に続きます。
1.手で考える力
2.似たものを見つける力(イメージする力)
3.仲直りできる力
4.気分を言語化できる力
5.ごほうびを先延ばしできる力
6.自分で決める力(自律性)
7.人を尊敬できる力
8.人に共感できる力
9.楽観できる力
10.自分にYES!と言える力(自己肯定感を育むほめ方)