「感情」と「気分」の違いとは何でしょうか?「氷山理論」で考えてみましょう。
私たち心は、ほとんど無意識の中にあるといわれています。「気分」とは非言語の状態で、おおざっぱな「快・不快」と考えられます。「なんとなくイヤ」「なんかひどい気分」という感じです。それを無意識の領域に位置づけます。
そのあいまいな「気分」を言語化すると、「感情」として意識できます。もちろん、感情のコントロールはとても難しいことですが、まずはその感情を認識できないと話は進みません。感情のコントロールの前提が「気分の言語化」なのです。
けんかが起こったとき、ただ行為のみを止めても気持ちの処理は宙ぶらりんです。そんなときは相手の気持ちを代弁してあげて、感情の処理方法を手伝ってあげます。こうしたことを私たちの園では行っています。「相手の気持ちをくむ」ということはコミュニケーションの基本なのです。
例えば、友だちに叩かれて泣いていたA君との会話。
A君(泣きながら寄って来て)「Bちゃんがたたいたの…」
先生「そうなんだ。たたかれてイヤだったのね?」
A君「うん、イヤだった!」
先生「悲しくなっちゃったのね?」
A君「うん、かなしい!」(ほどなくして泣き止む)
「なぜ?」「どうしたの?」とけんかの原因を追究する前にやるべきことがあります。まず、今のA君の感情を受け止めてあげる。言葉で代弁してあげる。感情の高ぶりは、受け入れられると静まります。問題への対処はその後です。
自分の気持ちを言葉にすることで「たたくのイヤだからやめて!」と表現することも覚えます。
本当のコミュニケーションとは、知識 のやりとりではなく、感情のやりとりです。私たちは感情をうまく伝えられず、あるいは、感情をうまく受け止められず苦しみます。
特にけんかが起こったときなどは、感情と感情がぶつかり合い、興奮は頂点に達します。これをチャンスととらえ、感情の処理をお手伝いします。自分の感情を認識し、コントロールすることは、今後の人間関係において、最も大切なことになるでしょう。
以下に続きます。
1.手で考える力
2.似たものを見つける力(イメージする力)
3.仲直りできる力
4.気分を言語化できる力
5.ごほうびを先延ばしできる力
6.自分で決める力(自律性)
7.人を尊敬できる力
8.人に共感できる力
9.楽観できる力
10.自分にYES!と言える力(自己肯定感を育むほめ方)