お母さんと赤ちゃんの深いきずな。抱き上げられた赤ちゃんは、ぴったりとお母さんの体に密着して離れません。こうしたお母さんへの愛着行動について、かつては次のように言われていました。
「お母さんは飢えや渇きを癒してくれる存在だから」
しかし今から50年ほど前、その常識に対する問題提起が行われました。ハーローという心理学者が子ザルを使って次のようなことを行ったのです。
子ザルは果たしてどちらを選んだのかというと、1日の大半をミルクの出ない布で作られたお母さん人形のもとで過ごしました。お腹が空いたときのみ、針金で作られた人形のもとに行き、飢えが満たされると、すぐにまた布の人形に戻るのです。また子ザルを驚かせるような刺激を与えると、まっさきに布の人形にしがみつきました。
子ザルにとって大切なのは、
ミルクよりも「柔らかな感触」「精神的な安心感」
であることが確認されました。これは「人間の愛情」の問題についても示唆的な結果です。
赤ちゃんは何よりも「安心感」を求めています。一生懸命作った離乳食を食べてくれないのはとてもつらいことかもしれませんが、まずは「柔らかな感触」で赤ちゃんを包んで上げてください。
心理学では次のような実験も行われています。お母さんの表情が子ども(1歳程度)の行動に与える影響です(J・ソースらの実験)。
ガラスを通して深い段差を確認した子どもは、おもちゃを取りに行く行動を躊躇します。そのとき、(A)のようにお母さんがほほ笑んでいた場合、75%の子どもがおもちゃを取りに行きました。しかし(B)の不安の表情のときにおもちゃを取りに行った子どもはいなかったのです。ここからわかることは、
お母さんが不安 → 子どもも不安
ということです。お母さんの表情は子どもの行動を変えてしまうのですね。
先ほどの村社院長も次のように言っています。
「食べてくれない」なんて、そもそもお願いの姿勢です。(今食べなくてもお腹が空けば食べるわ!)というくらいの気持ちで、「ほーら、ご飯っておいしいのよー。いいでしょー。」と一緒に食べて、まずは大人が食事を楽しんで下さい。
以下に続きます。
1.「離乳食を食べてくれない」
2.【心】:まずは「安心感」
3.【唇】:口に突っ込まない
4.【唇】:「上手に食べる」は「上手に話す」につながる
5.【唇】:スプーンは水平に
6.【手】:手の動きを封じ込めない
7.【手】:指差しを通じたコミュニケーション
8.【耳】:適切な「ことばかけ」をしていますか?
9.【目】:目の前におかずを次々出していませんか?
10.【足】:ブラブラ、フラフラしていませんか?