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夏見台幼稚園 食育、英語、異年齢保育など 千葉県船橋市にある幼稚園です。

腸から健康を考えるVICE&PRODUCTS

11.腸内細菌と脳の関係

 

 ここでようやく本題にたどり着きました。腸内細菌は脳にどのように作用しているのでしょうか?

 

 私たちの身体はまず「腸」から作られます。受精卵の外側が内にくぼみ、その口が閉じます。これが「腸」です。

 その腸がのびてゆき、「口」と「肛門」ができます。さらに栄養をためこむところがふくらみ「肝臓」ができます。酸素をためこむところがふくらみ「肺」になります。そして上のほうがふくらんで「脳」になります。

 脳は腸の出先として進化したのではないか。発生的にはそうなります。脳と腸は密接につながっているのです。

 その証拠に、腸内細菌がまったくない無菌マウスの脳を調べると、記憶をつかさどる「海馬」の働きが低下していることがわかっています。学習能力がないのです。また性格も無気力で、何か行動を起こすと無謀なことをするといいます。腸内細菌が十分でないと、脳が育たないわけです。

 ただこの無菌マウスでも、生後4週間以内(人間でいえば離乳期)に腸内細菌を投与すれば、正常に戻るといいます。早期に腸内細菌を整えることの大切さが示唆されます。

 では次に人間で考えてみましょう。

 

 脳と腸は迷走神経でつながっています。私たちはつねに脳がトップダウンで指令を出しているように考えがちですが、この場合は違います。なんと、90%もの命令が一方的に腸から脳へ上がるのです。

 英語で腸のことをガット(gut)といいます。直感・第六感を「gut feeling」というのはこうした由来なのでしょう。

 ではどんな指令が送られるのか?腸内細菌の働きにより、感情を調整するといわれる神経伝達物質(の前駆物質)を大量に生産するよう指令するといいます。ドーパミン、セロトニン、アセチリコリンなどの主要なものです。

 たとえば、うつ病の人は脳内のセロトニンが少ないといいます。セロトニンが増えれば幸せな気持ちになります。その操作に腸内細菌が関与しているというのです。まさに「腸」を整えれば「心」が整うのです。

 

 またカナダの大学でこんな実験があります。遺伝子的に違いのない2種類のマウスを用意。ただ性格は違います。小高い所にマウスを置いたときに、勇敢な性格のマウスはすぐに飛び降ります。しかし臆病な性格のマウスはなかなか降りることができません。

 ここで双方の腸内細菌を入れ替えます。するとそれにともなって、性格(行動)も入れ替わってしまったというのです。性格は腸がコントロールしているのではないかという可能性です。

 

 こんな実験もあります。図は抗うつ薬や抗不安薬の効果測定に使う強制水泳試験です。水にマウスを入れると必死に泳ぎ、だいたい2分で泳ぐ意欲が失われます。そこにあらかじめ腸の働きを活性化する乳酸菌を与えておくと、泳ぐ時間が2分40秒にのびました。

 この40秒の違いは大きく、あたかも抗うつ薬を投与したかのように意欲が向上したということです。脳内レベルでみても、抗ストレス作用のあるGABAという物質が活性化していました。

 しかしここでマウスの迷走神経を切断します。すると、泳ぐ意欲は2分でとまり、GABAも活性を失いました。

 

 またワシントン大学の実験では、無菌マウスに2種類のヒトの腸内細菌を投入しました。一方はジャンキーな食事を好む人の腸内細菌、もう一方はヘルシーな腸内細菌です。そして好きなエサを選ばせると…

 予想通り、ジャンキーな腸内細菌を入れたマウスは脂質の多い不健康なエサを食べ、ヘルシーな方は健康的なエサを選びました。

 

 続いて、不健康な腸内細菌を入れたマウスに、ヘルシーな食事を好むヒト腸内細菌を追加しました。すると、健康的なエサにも興味を示しだしたというのです。

 ここから、
食事の好みは腸内細菌が決めているかもしれないということが示唆されます。

 

 UCLAの教授で脳腸相関の権威であるエメロン・メイヤーにいたっては次のようなことをいっています。「脳MRI画像を見れば、だいたいその人の腸内細菌の分布が予測できてしまう」。まさに脳と腸はつながっているのです。
 
 一歩進めて、
腸を整えることで脳によい影響を与える可能性 があるということです。これは私たちの意志でできます。何を食べるか?ここで主体性を発揮すべきです。こうした観点から食育を見直すべきだと私はいいたいのです。



以下に続きます。

 はじめに

 1.血糖値スパイク

 2.白砂糖の害

 3.ペットボトルか?水筒か?

 4.慢性炎症の時代

 5.私自身の話

 6.腸のバリア機能

 7.日本の長寿村・短命村の食事

 8.「食の主体性」とは?

 9.コオロギはなぜ自殺するのか?

10.我々は操られているのか?

11.腸内細菌と脳の関係

12.あなたのチワワにエサを!

13.園での取り組み

おわりに

 


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