ではどうすればいいのか。一言でいえば「とにかく食物繊維を毎日とりましょう!」となります。
大腸は唯一自分の意志でコントロールできる臓器です。食物繊維を食べるだけでいいのです。あとは腸内細菌が勝手にやってくれます。短鎖脂肪酸を生産して、私たちの健康を管理してくれるのです。
ところでここでちょっと怖い(?)話があります。
私たちの腸内細菌をすべてあわせると約1.5キロ。だいたいチワワ1匹分くらいの量です。変なたとえですが、腸内にチワワを飼っているとお考えください。
ではここでクイズです。家でペットを飼っているとします。もしチワワにエサを与えないでいるとどうなるでしょうか?
そんな事件が2011年に福生市でありました。一人暮らしの男性が服毒自殺しました。まさにチワワを飼っていました。時間がたって警察が部屋に踏み込むと…男性の顔がわからなくなっていました。飢えたチワワが顔をかじってしまったのです。
実は似たようなこと(?)が腸内でも起こっています。スタンフォード大学の微生物学者、ジャスティン・ソネンバーグによれば、
「(食物繊維をとらないと)腸内細菌は唯一残された食べ物、つまりあなた自身を食べるしかない。腸内細菌が腸の粘液層にふくまれる炭水化物を食べると、腸の内壁がどんどん薄くなっていき、微生物を安全な距離に遠ざけていた保護膜が破損する。同じことが毎日のようにくり返されれば、免疫系が危険を察知し、大腸に炎症を起こして報復する」(『腸科学』早川書房より)
実は食物繊維をとらないだけでリスクなのです。前述した腸のバリア機能が損なわれてしまうのです。
食物繊維というと、「私は便秘じゃないからいいです」とか「美容・ダイエットですか」という認識が多いものです。しかしここで考えを改めねばなりません。人生100年時代の予防医学として、食物繊維を位置づけねばならないのです。
あなたのチワワにエサを!
以下に続きます。
はじめに
1.血糖値スパイク
2.白砂糖の害
3.ペットボトルか?水筒か?
4.慢性炎症の時代
5.私自身の話
6.腸のバリア機能
7.日本の長寿村・短命村の食事
8.「食の主体性」とは?
9.コオロギはなぜ自殺するのか?
10.我々は操られているのか?
11.腸内細菌と脳の関係
12.あなたのチワワにエサを!
13.園での取り組み
おわりに